オデュッセイア


クリストファーノーラン監督の新作です。

ノーランが全編IMAXカメラで撮ったっていうからサ、オデュッセイア、デカいIMAX上映で見てきたよ。

体感20分です。172分とかあるらしいですけど多分嘘です。

通常版上映だとIMAXの半分ぐらいしか画面ないって聞いてたけど、ずっと画面がデカいから、これ普通にマジなんだ。と思った。通常上映だとみんなの膝小僧が見えない感じですか? 

アンティノオスのお顔が、とってもかわいかったです(ネタバレに配慮した感想)(古代ギリシャの叙事詩にネタバレとかある?)

いや、こんな、かわいいお顔で、クズなの、ありがとう。めちゃくちゃ小物でしたね。膝小僧も、ありがたいことですよ本当に。



公開からしばらく経ってるからさ、ストーリーのなかで何が起きるのかは大体想像ついていたし、最近プレイしてるHADES2にオデュッセウスが主要人物として登場していて、HADES2自体がオデュッセイアを下敷きにしている部分が多いので微妙に予備知識があるんですよね。

お!! 羊!! てことはポリュペモス来ますね!! とかわかりました。


↑HADES2のオデュッセウスもポリュペモスに言及してくれる。HADES2というゲームははその名の通り冥界の話で、人間はみんな死んだあとの話です。「誰でもない」みたいなやりとりをした話もしてくれる。


ポリュペモス、戸締りちゃんとできてえらい、おれよりちゃんとしてる。羊に紛れた人間をムシャる以外は善良な……善良かな? な巨人。

あれって羊とおんなじようなもんだな〜〜〜と思ってなんか増えたし食うか! ってムシャってただけなんですかね? サイズ感同じだし……

でもチーズ作ってるから羊のことは普通に大事にして放牧してんのか……ムシャリは人間限定?

クリストファーノーランにあんまり食指が動かない理由の一つが、「クリーチャー映画を撮らない」だったんですけど、巨人めっちゃ良くて、ノーラン行けるやん!! クリーチャー映画行けますよ!! ちょっと今度ゴジラ撮ってみて!! 頼む!! 

ってウォォッてなったんだけど、もしわたしにゴジラを希望の監督に撮ってもらえる権が存在するとすれば、やっぱギレルモデルトロに撮って欲しいから、ノーランはやっぱいいや!! 

巨人、「戸締り」「人食べ」「大声(これはオデのせい)」以外ほぼやってないのにめ〜っちゃ怖くて良かった。いや〜ここでもう「いい映画だ〜」ってなった。はやめはやめで確信していきましょう。

「こいつしゃべるんか……」「アリに話かけないだろ」のやりとり、なんかこう、絶妙に、笑っていいのかあかんのかわからなくて、おもしろかった。


・巨人のみなさん!!!! デカイぜ!!!! 木が動いていて怖かった。

ノーランのことだから、ほんものの巨人のみなさんを連れてきているんですよね。とジョークを言おうと思ったら、割とマジだったので、マジかノーラン……になった。


・キルケも良かった〜キルケは人を豚にすること以外知らないけど、めちゃくちゃ怖かった、完全に蹂躙されたことがある側の人でしたね。戦後PTSDだ。

こんなに怖いメシ食うシーンってあるんだ&豚にするって、物理なんだ……。

オデュッセイアが弓をビーンとして、逃げる鹿さんを撃ったら、男のケツでてくるの、ひえ~!!!! ってなっちゃった。

キルケは、呪ったりしてないよ。元の姿に戻しただけだよって言うんだけど、死んで人になるなら、それはちゃうのではという気持ちもあり、なかなかね。

姉妹もカラスになっているけど、その方がいいなら、キルケにとって都合の良い形になるんでしょうか……などもね。

このキルケ新解釈なんじゃないかなと思います。キルケのこと全然知らんけど……わりとオデュと好い仲だったっぽい? もんね。


・冥府で死者を召喚したとき、シノンがね……シノン当然だけど死んでるんだなってね……。アガメムノンの血の飲み方が上品だったんで良かった。カッケ〜鎧の男、死に方がダサすぎる!!

・海峡の化け物を紹介するぜ!! セイレーン!! カリュブディス!! スキュラ!!!!この辺は全員HADES2に出てくるんで予習は完璧や!!

「ちょっとマストに縛り付けてもらって、セイレーンの歌声を聞いてはじめて生還する男になるで!」ってやってるオデュッセウス、なかなか愉快な男ですよね。

こういう笑っていいのかわからんギャグをやって、「聞かなければ良かった」って失意になってるの、なんか、まあドンマイ……としか言うことない。


・アポロンの島の回、穴掘って隠れて牛食べてるのをオデュッセウスがみつけるところ、「隠れて食べれば神に見つからないと思ったか」というシーンも、なんか妙に、笑っちゃいけないんだけどおもしろくて、なんなのよこの映画はよ~~~!!!となった。

部下が逃れたいのは、神や予言じゃなくてオデュだったんじゃないかなというのも想像したりしてね……

・部下はアポロンの牛を食ってみんな死にます、の予言をその通りにするために、ずっと出航できなかったんだろうな、というぐらい、牛食ってすぐ風向きが変わって出航できるようになるところ、ここが一番、神々のことを怖く感じたかも知れない。

わたしは現代人で、海が荒れる、雷が落ちる、ということは科学的に説明がつくことだとわかっていますが、映画を見ているときはそういった自然現象を通じて、神の存在や意図を感じて畏れていました。


・スパルタの王、ジョンバーンサルと、トムホランドが一瞬で仲良くなって、一緒に狩りとかやってるの見て、この組み合わせ、最近見ました……スパイダーマンだ……になった。


・ノーランは女性を撮るのがうまくないみたいな言い方してる人いたけど、この映画に限っては、女性を魅力的に描かないように徹底していたのではないかな~と思った。
ルピタニョンゴは、本当に美しい女優で、最も美しい女性(ヘレネー)の役をしていても全くおかしくはないけど、この話で、美しく撮ったら、テーマがおかしくなっちゃうじゃないですか。
「いまなら、船500隻ってところか」と、ジョンバーンサルがヘレネーの美しい横顔から顎を掴んでこちらを向かせ、お顔の半分に傷をつけられているのを見せつけるシーンとか、”モノ”すぎる!になりました。
この映画に出てくる女性は、みんな、軽んじられたり、トロフィーのように扱われたり、モノのように蹂躙されたあとなんですよね。
アンハサウェイも、絶対にもっと理知的な人間として描くことも出来たけれど、短慮めの息子に対して、女性であることで軽んじられている怒りを爆発させている。
キルケーも傷つけられ、怒れる女ですよね。
アテネも、トロイアで殺された女性の姿を取って現れていて(本当に現れているのか、オデュッセウスの幻覚なのかは正確にはわからないけど)、オデュッセウスを守護しているというより、過去を忘れぬようあらわれているようでもある。
カリュプソは、わからん。この人はバキバキに美しかったな、漁の網みたいな服着てありえん美しさの人っているんだ。強いていうなら、こう、オデュを引き留めたい引き留められない悲しみを持っているか? 
記憶取り戻した後、わりとオデュの態度悪くて、こいつ態度悪ない!? 反省するまで海の上いさせましょうよシャーリーズセロン先輩!! と思いました。

オデュッセウスはボロッボロのイカダでイタケにつきますけど、アポロンの牛を食ったときと同じく、こう、全部、神々のタイミングでやらされていますという感じもしますね。

牛飼いのジョンレグイザモの危機が終わった後にオデュは来て、そこから息子を、おとずれる危機から救うためにスパルタからの帰路へと向かうのでした。


もうこの辺になったら、わたしはですね、もうマッドデイモンが求婚者たちを最後皆殺しにするのは知ってるから「いつかな~」とか思っているわけですよ。
これって、よくないな!と思って。なんか、血を求めるのって、よくないですよ!(あたりまえ体操)

・息子を救ったオデュッセウスは身元を隠してペネロペイアと話すけど、「海の民」は自分たちだったと、トロイの木馬で神々との盟約をはじめに破ったのは自分だと後悔している胸の内を吐露していて、
でもオデュはダチがいる間は結構楽しそうでもあったから、君はいつその結論に辿り着いたのかね……と思いました。やはりイカダか。イカダで海と雷に翻弄されながら気がついたのか。
そしてここも戦後PTSDの話なんだよなあ。

でもこれ思い返すとめっちゃおもしろいですね。イタケは海の民に備えないと!こんな危機なのにまだ王が帰ってこない!とやっているのに、蓋を開けてみれば、襲来を恐れている海の民こそが、帰りを待ち焦がれていた王だったんだから。

まあそれで、いろいろあって、オデュッセウスは城にあっためっちゃ硬い弓の弦をはり、ビーンって弦を慣らして、斧の間を打ち抜いて、求婚者たちをころします。
オデュッセウスって、SSR弓を城に忘れていって(置いていった?)コモン弓でずっと戦ってたわけ!? と思いました。
求婚者たちのお祭り(殺し合い)では、2Fから床抜いてアシストする人と、「あ!盾落ちてきた拾え拾え」とか言って自分ではなんもしないアンティノオスがおもしろかったです。小物すぎる。
アンティノオス、徹頭徹尾、小物すぎて本当に良かったな。「恥を返す」とシノンから預かったあたりくじを口の中に入れるやつ良かったです。
 



まじで、あ~おもしろいもん見た! 帰ってきて旅立つの良きラストじゃん!!と思っていましたね。

でもあとから考えると、イタケ、王と王妃がいなくなって、トムホランド一人で大丈夫なんかなあ……と思いました。

見終わって後日、IMAXカメラは2分半ー3分しか撮れなくて、回してるときミキサーみたいなデケえ音がする上に、フィルム交換にも時間がかかって、当然フィルムも超高価というのを見て、

全編IMAXで撮るというのは、まあ、すごい、決断なんだなというのが想像できて、やべえ映画だ~と思いました。

映画という文化への福音ですね。

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