いずれすべては海の中に
先月出たばかりなのにunlimitedに入ってました。ラッキ〜って読んだ。
これ表紙いいねえ。
前半の短編はよくわからないものもあったけど、後半の中編4篇はどれも素晴らしかった。
風はさまよう
音楽-歴史-世代間宇宙船……ネルソンの反抗は思春期のよくあるものではあるけどこの舞台装置だととても効いた。
宇宙飛行士でフィドル弾きの祖母、録音をしない方針の娘のバンド、祖母の「オールドタイム」を真っ向から否定する母、祖母-母-私-娘という4世代間の視線の違い、またそれがさらにネルソンのような第5世代?との対比を感じて良かった。
DADDのチューニングでないと風が変わってしまうけど、宇宙船で育った世代はもう風を知らない。
オープン・ロードの聖母様
ホロライブ、ステージホロなる技術(3D録画したライブを本物と遜色なく上映できるっぽい?)が席巻し、現実でのライブステージは歓迎されていない世界で主人公は廃油で動くバンでライブツアーを続けている。
これはSFでありながら、現実でもこういう話絶対にあるでしょ、という雰囲気でめちゃくちゃ好き。
サラ・ピンスカーの長編「新しい時代への歌」のプロトタイプ版みたいな話らしく、そちらも気になります。
イッカク
クジラのカーで旅行をしよう! クジラじゃなくてイッカクだったね! というお話。何にもわかんないんだけどなんか良かった。
そして(Nマイナス1)人しかいなくなった
並行世界のサラ・ピンスカーを集めて行われたサラコンでサラ・ピンスカーが死んでいるのが発見される。被害者はサラ、探偵役もサラ、そして参加者の数多のサラが容疑者。
設定だけでもうめっちゃおもしろいじゃんずるいよ〜サラの分岐地点の話とか真犯人の動機とかのミステリ的な部分はもちろん、
死んでいるサラを見て動揺するサラとか自分の恋人が自分ではないサラと並んで撮った写真に驚いたりとか細かい描写がいちいち良かった。
あとはやっぱり一作目の「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」、これ好き。
農場経営者の両親がオートメーションの信奉者で息子の腕がなくなったときに即座に最新式の義手にする判断するの好き。
父の被る"ジョンディアのロゴ入りキャップ"、これ日本だとヤンマーとかになるんかなと思った。
片腕がメカになる話で"とは言うものの"に"オン・ジ・アザーハンド"とルビが振ってあって、サラ・ピンスカーはそういう言葉遊びをするタイプなんだろうな、そしてまた翻訳の方もそれを踏まえて翻訳してくださっているんだな、と一作目からニコっとなりました。
若かりし日に入れたタトゥをリメイクする大変爽やかなラストで好き。
言葉遊びや言葉へのこだわりあるんだろうな〜と一作目で感じたので、風はさまようで"ブルックする""オールドタイム"が既に定着した新語として扱われているのとか良いな〜と思ったし、
訳者の後書きでオデュッセイアから引いてあるタイトルとか、クリスティの「そして誰もいなくなった」のメチャウマなひねりとか書いてあって良かったですね。
この本今のところ今年で1番好き。

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